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Let's play our music!【うた☆プリ】

第3章 再会と初授業


「よし、じゃあ作曲、作詞を次の授業までにしてこい、では解散!」

その後つつがなく終了した授業。
神宮寺さんとテストについて打ち合わせようと2人で中庭にやって来た。

「やっぱり熱情を表現するならここはこうですね」
「歌詞もそれに沿ったものにしないと合わないね」

昼時、音楽談義していた生徒達のように会話しているのが嬉しかった。
相手が神宮寺さんだったこともあるかもしれないが、とても話しやすくて、違う角度から意見をくれるのが新鮮で、楽しかった。

「じゃあ、これで完成ですね」
「後は各自で詰めるだけだね、お疲れ様、レディ」

大まかな打ち合わせをすませると、何となく会話が途切れる。
2人黙りながら景色を眺めていると、彼が歯切れ悪く声をかけてきた。

「さっきの、ことだけど…」
「あ…ごめんなさい、迷惑かけて」
「いやそうじゃなくて…気にしなくて良いと思うよ、この学校、訳ありな奴なんかそこら中にいるからさ」

励ましてくれている…?
ちらりと彼を見ると、そういった言葉は慣れないのか頬をかいていた。

その頬が少し赤い気がして、そんな神宮寺さんを見るのが初めてでクスリと表情が緩む。

「やっと笑ったね」
「…え?」
「俺の前で、やっと笑ってくれた」

その方がずっと可愛い。

さっきまでの照れた顔は何処へやら、すぐにいつもの顔になって笑顔を向けてくれた神宮寺さん。
華の言っていた、誰にでも告げる愛の言葉だと分かっているのに、鼓動が高鳴ってしまった。

「…ありがとう、神宮寺さん」

それを振り払うように笑顔を浮かべて立ち上がる。
戻りましょうと声をかけると、彼も頷いた。





その次の日、校内を歩いていると設置されているモニターにAクラスのレコーディングテストの様子が映っていた。

歌っている男子生徒は確か春歌のペアだったはずだ。

「一十木、さんだっけ」

活き活きとした表情で、明るく歌う彼の歌は温かい。
その声は陽だまりのようで。

春歌の曲も、彼の雰囲気に合っていて、春の木漏れ日が眼に浮かぶようだった。

「出来たね、春歌」

彼女の成功がなんだか自分のことのように嬉しくなって、思わずモニターに向かってピースした。

恥ずかしくなって周りを見渡すと、陰で翔くんが笑いをこらえていて、そんな彼に羞恥のあまり突進したのは、その少し後の話。
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