Let's play our music!【うた☆プリ】
第21章 QUARTET NIGHT
「やっぱり皆にも予想できないグループだからね、僕らの方向性がちゃんと伝わるようなものが良いと思う」
「方向性…ね、それはどんな?」
「んー、大人な感じとかセクシーとか?」
そう言ってる寿さんにセクシーな感じは今の所見られないなんて言えない。
しかし時折細める瞳や、ちょっとした仕草は確かに色っぽいのだから歌うときにはきっと雰囲気が変わるのだろう。
「他は?」
「やはり気品ある歌が良かろう。ファンを誘惑し魅了する妖艶さを兼ね備えた、な」
「なかなか難しい注文をするのね」
「貴様に出来ないとは思わんからな」
気品ある妖艶…想像がつかない。
しかし外国の貴族であるカミュさんならばそんな歌も歌いこなせるのだろう。
髪をさらりとかき上げながら話す彼は絵画のようだった。
「やっぱりアツイ歌だろ、聞いてて昂ぶるようなロックな曲しかねぇ」
「ランマルはそう言うと思ったよ…ボクは、そうだな。インパクト重視でいくべきだと思う。今までソロでやってきた人間のお披露目だ。生半可なものじゃ世間は納得しないよ」
その後も議論は白熱した。
麗奈は話に自分の意見を混ぜることはしないものの、随所で突っ込んだ質問をしたり、質問の方向を変えたりとアイドル達の様々な意見を引き出す。
それに乗せられてか饒舌になる皆さんを、私はどこか呆然と見つめていた。
こういった曲の作り方がある。
いや、もしかしたらこれがシャイニング流の作曲方法なのかもしれない。
だからアイドルと作曲家がパートナーとなり、共に曲を作るシステムが早乙女学園にあるのか。
そんな風に考えたことがなかった。
こんなにもアイドルからアイデアを引き出し、曲に織り込むなんてことをしたことがなかったから。