Let's play our music!【うた☆プリ】
第21章 QUARTET NIGHT
「おい、てめぇ…喧嘩売ってんのか」
「ふん。誰が貴様のような輩にそのようなものを売るか」
「まぁまぁ2人とも、落ち着いて…」
「ここに皆が集まってから25分40秒。話し合いが全く進んでないね」
よく分からないが低レベルそうな喧嘩をしている、人気アイドルの姿があった。
「……刺激?」
「ごめんなさい、ここには何も感じなくていいわ」
見たくなかったなぁ、スターのこんな姿。
「あぁ!麗奈、おかえり〜!!」
いち早く私たちの存在に気付いたのは寿嶺二さん。
アイドル時代に共演したことのある人だ。
周りをよく見ているムードメーカー、そんな印象がある。
「嶺二、この騒ぎは何?」
「それがさぁ…ランランが珍しく料理でミスしちゃって。それをミューちゃんがチクチクチクチク刺すもんだからランランも怒ってついミューちゃんのデザート崩しちゃったんだよね」
「それで売り言葉に買い言葉でこうなってるわけね…」
「ミスなんて誰にでもあるだろうが。大事なのはそれをどうリカバリーするかってとこだろ」
黒崎蘭丸さんはお会いするのは初めてな気がする。
バンド出身なこともありその歌唱力は高く評価されていて、歌を聴いた時の頭を殴られたような感覚は今も覚えてる。
ちょっと無口なイメージだったんだが、そうでもないらしい。
「確かに、ランマルはそこのところを上手く隠して、逆に利点に変えていた。そこは評価すべきだと思う」
淡々と話す美風藍さん、この人は間違いなく初対面だ。
だって今まで正体不明といわれていた人なのだから。
歌だけをネット上に公開し、テレビなどに露出することは全くなかったのに、その透き通る歌声と心震わす何かで爆発的な人気を博した。
見た目も綺麗な人だけれど、性格はどうなのだろうか。
「ふん、まずミスをするから貴様はその程度だと言っているのだ。俺なら全て完璧にやり遂げる、貴様と違ってな」
金髪碧眼、外国からやってきた王子様のようなカミュさん。
確か、執事のような言葉遣いと身のこなしで世の女性を虜としているのだが…。
え、これ本当にカミュさん?
私の記憶とは随分違う…が、誰も特に驚いていないのでこちらが素ということか。