Let's play our music!【うた☆プリ】
第3章 再会と初授業
「そして1つ。大切なルールがある、そのルールとは…」
そこで先生は1度言葉を切る。
皆が息を呑んで次の言葉を待った。
「恋愛絶対禁止令!」
思わず2度聞きしそうになる。
が、聞けば違反者は如何なる理由があろうとも即退学らしく、その真剣味が伺える。
確かにアイドルにとってスキャンダルはご法度。
今のうちからその認識を植え付けておくのは良いかもしれない。
アイドルと作曲家なんて、くっつきましょうと言わんばかりの信頼関係を要求されるから、それが男女なら尚更だろう。
「…華…」
思わず恋する友人の方をちらりと伺ってしまう。
私の視線に気づいた彼女は大丈夫とでも言いたげにウインクしてきたけれど、戻した視線の先にはやはり神宮寺さん。
禁止令があるとはいえ、想いを抑えきれないのが恋というもの。
これから何人がこの禁止令に泣くんだろうかと思うと、同情を禁じ得なかった。
「ではこれから授業を始める」
そして行われる授業はなかなかにハードなもので、昼になる頃にはもう全員くたくただった。
「あー、疲れた!」
「華、先生に提出物出さなきゃでしょ、私先行ってるね」
「うん、よろしく!」
彼女と別れて廊下を歩く。
様々な生徒が音楽談義に花を咲かせていて、どの生徒も活き活きとしていた。
その光景に笑みをこぼすと、ふと前方から一際華やかな人物がやってくる。
「あら、ちゃん!」
「月宮さ…先生」
「固っ苦しいのは抜きよ抜き!元気そうで良かったわ!」
あなたも相変わらず綺麗です。
どんな手入れをすればそんな肌になるのかというほどのツヤ、ふわふわの髪。
アイドルとして手を抜かないその姿勢に私は何度学んだことでしょうか。
そんなこと面と向かって言うことは出来ないが、相変わらずお綺麗ですとだけ告げると、先生は嬉しそうに笑って歩く私に並んだ。
「それにしてもあなたが作曲家ね〜」
「…意外ですか?」
「ううん、時々作曲してるみたいだったし、向いてると思うわ」
でもね、と続ける月宮先生の顔は少し真剣で。
首を傾げた私にだけ聞こえるように先生は距離を詰めて話す。
告げられた言葉は予想もしていないものだった。
「あなたが元アイドルだと知っている生徒は多いわ。なんで作曲家って反感持ってる子もいるから、絡まれないよう気をつけてね」