Let's play our music!【うた☆プリ】
第20章 予期せぬ別れ〜side神宮寺レン
「華!!」
「…レンくん、皆…っ!!」
あれから昼までの時間は何をしていたか覚えていない。
でも昼休みになった瞬間、華に電話をした。
彼女はやはり体調が悪いわけではなく、ただ泣いていたらしい。
話を聞かせてくれと食堂へと来てもらったが、やって来た華は酷く青ざめていた。
「大丈夫か?ほら、座れよ」
「ありがとう、翔…」
普段の元気な華からは想像できないようなか細い声。
あまりに痛々しくてそっと彼女の頭を撫でてやると、それが引き金になったか彼女の目に涙が浮かんだ。
「…昨日部屋に帰ってきたら、あの子の荷物はあったの。だからちょっとどこかに出かけてるのかなって思ったんだけど」
「…」
「私の机の上に、手紙があって…っ、からのだった…そうしたら中に、退学するって…」
笑顔で自分たちを迎えてくれると思っていた彼女は、いなかった。
1人でその事実を受け止めた華はどんな気持ちだっただろう。
大した心の準備もせず、出掛けてるだけだと帰りを待った彼女は。
「暫くしたら林檎先生が来て…私にあの子の荷物を段ボールに纏めてくれって頼んできたの…」
そこから先は言葉にならなかった。
思い出したのか声を上げてなく彼女の背を聖川がさすってやる。
本来それは1番そばにいた俺の役割なんだろうけど…今の俺にそんな余裕はない。
こんな別れ方ってあんまりだ。
何も言えてない。
まだ話したいことがたくさんある。
いや違う、たとえ話すことがなくても俺は彼女を欲すだろう。
ただがいることを感じたい。
毎日会って、笑う彼女が見たい。
それだけだ。
なのに、こんな突然に別れを突きつけられるとは。
「…嘘だと言ってくれ…」
食堂のざわめきの中にいるのに、俺たちの周りだけ無音の世界に入り込んだように静かだった。