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Let's play our music!【うた☆プリ】

第20章 予期せぬ別れ〜side神宮寺レン



合宿から帰ってきた俺達には、どこかピリッとした緊張感が走っていた。


ペアの申し込みを、同じ人間にした。


その事実はもう広まっていたから。





「…レディ、体調治ったかな」


脳裏に浮かぶのは合宿を早々に離脱した彼女。
体調不良と聞いたが、その前の日に話したときはそんな感じしなかったんだけど。

ペアの申し込みは間に合ったのだろうか。

ふとそんな疑問がよぎる。

彼女とした約束を、彼女自身が違えるはずはないと思っている。
しかしその相手が全く予想できなかった。

態度的に自分ではないと悟ったときは落ち込みもしたが、自分も相手に七海春歌を選んでいるからおあいこだ。


でも正直、他に誘いそうな人間がいないような気もする。




「…まぁ、いいか」


知りたければ聞けばいい。
時間はまだたっぷりとある。


今日からは、また一緒なのだから。

























「席につけ」


龍也さんの一言で教室は喧騒から静寂へと一変する。
皆静かに席に座り、真剣な目で彼の言葉を待つのだ。

これもまた時期のせい。

卒業オーディションのためのペア結成期間も終わりに近く、すでに決まった人間はやる気モード。
決まってない人間はそれこそ己のアピールのために馬鹿げたことはしでかさない。


春初めのなかなか静まらない賑やかさも好きだったが、こういった張り詰めた空気も好きだ。


そういえば、入学当初のも1人だけこんな雰囲気で浮いてたっけな。



彼女の方へ視線を走らせる。

しかし、向けた先に彼女の姿はない。



まさか、まだ体調が悪いのだろうか。
そういえば華の姿も見えない。
あの子に関しては熱を出すなんてこと早々ないし、華が誰にも何も言わずに休むときは決まって精神的にキツイ時だと長い付き合いの中で知っていた。


だからこそ、胸中がざわめく。
何か嫌な予感がする。



「てめぇらに大事な話がある。体調不良で合宿を早退していただが…」



頬を、ツーッと汗が伝う。
本番前でもないのに心臓が音を立てる。



「先日、この学園を退学した」



俺の悪い予感は、どうしてこうも当たってしまうんだろうね。
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