Let's play our music!【うた☆プリ】
第19章 転機
麗奈が、どうしてここに。
訳が分からずぽかんとしている私の隣に立つと、麗奈は学園長に話しかける。
「よく来ました、Miss睦月!」
「呼ばれたので。まさかが来てるとは思いませんでしたけど」
どうやら2人は既に知り合いらしい。
何か用があったらしい彼女はちらりと私を見る。
学園長はそんな麗奈の反応も予想通りだったらしく、サプライズ!と満足げに叫んでいた。
「…で、あの、学園長。私に話しってなんですか?」
退学した身の私に何を言うのだろう。
それを聞こうとしただけなのに、学園長は突然飛び上がって空中でくるくると回った後、机の上に着地した。
「ミーは学園長としてユーに話があるわけじゃナッシング!!」
「はぁ…?」
「シャイニング事務所の社長としてお話があるのですぅ!!」
社長としての話。
尚更彼の意図が読めない私の隣で麗奈はその表情を崩さない。
しかしどこかその目は楽しそうだった。
遠足を楽しみにしている前日の子供見たいに。
「Ms.…」
「はい?」
「今のユーは早乙女学園の生徒ではなく、元レイジング所属のアイドルです、That's right ?」
「…はい」
「そんなユーにquestion!うちの事務所に入ってアイドルやる気はありましぇんか?!」
「……え?」
これはまた驚きの展開だ。
学園長__いや、社長は私に自分の事務所に入らないかと勧誘してきた。
それもアイドルとして。
確かに私自身の価値ははっきり言うとアイドルとしての方が高い。
すでに結果を出している方を欲しいに決まっている。
しかしだ。
「社長」
「何デスか?」
「お申し出は非常に有り難いんですけど…あなたの意図がわかりません。さっき私はあなたに自身の迷いを浮き彫りにされました。そんな私が事務所に入っても望む結果が出せるとは思えません」
自身の疑問を素直に口に出す。
芸能界を諦めなくて済むまたとない機会に難癖つけるなんてバカかもしれない。
いらないことを聞いたせいで、なかったことにされるかもしれない。
けど、ここをはっきりさせないと私は変われない気がした。