Let's play our music!【うた☆プリ】
第19章 転機
「え…は、え?」
頭が追いつかない。
突然差し出された退学届に署名しろと促されてもはいそうですかとペンを手に取ることなど出来ず。
「り、理由を教えて下さい。急に言われて納得出来るわけありません」
もう話は終わったとでも言うように背を向けていた学園長に言葉をぶつけた。
私が何をしたというのか。
何が評価されなかったのだろうか。
苛立ちと、焦りと共に。
「お前はこの学園には必要ない」
普段の話し方と全く違う、どこか怖い雰囲気を纏った学園長はそう切り捨てる。
その何も寄せ付けない固い壁にたじろいだ。
「必要ないってどういうことですか…成長の見込みがないからって捨てるんですか?」
「、自身の進みたい道が分からなくなってふらふらしている人間を在籍させてやれる程ここは甘くない」
「…っ!!」
見透かされている。
どこか幼い子に諭すようなその口調に頭に血がのぼった。
弁解も許されないことに、只々苛立った。
その時の私は子供そのものだっただろう。
納得いかないことに喚き立てて、駄々をこねる。
自分の意見を聞いてもらえないことに我儘を言う子供に。
「納得出来ません…私の成績だって低いわけじゃないし、追い出される理由がないじゃないですか…!!」
「我々が求めているのは一途に夢を追う人間。その熱意だ。今のお前からはそれが全く感じられない」
「私は…っ」
続けたい言葉は出てこなかった。
それは私の迷いをはっきりと表していた。
「…わかったか」
「……私は……」
学園長の変わらぬ冷静な言葉に少しずつ頭が冷えていく。
私は、確かに迷っていた。
そのことを少しずつ脳が受け入れ始めた。
「…迷ってます。私は、結局自分がアイドルになりたいのか作曲家になりたいのかわからないままです。それに…今は曲を作る自信がなくて…」
あぁ、こんな私が。
卒業オーディションを勝ち抜けるわけがない。
ここで辞めろと言っているのは、もしかしたら学園長の優しさなのかもしれない。
オーディションに落ちて、自信を完全に失ってしまう前にこの世界から離れろと。
それなら私は。