Let's play our music!【うた☆プリ】
第18章 ペア
「じゃあ、聖川さんも春歌に申し込むんだね」
「そうだな…あいつと共に音楽を奏でたい、そう思う」
春歌、あなたが羨ましいよ。
こんなにもたくさんの人に思われて。
冷静になった頭で考えればこんなにも簡単に分かること。
春歌の曲は、アイドルを魅了する。
私のものより…。
「」
「…」
「…いや、。俺はお前を尊敬している」
「突然何?」
自身への絶望に苛まれる中、聖川さんが口を開く。
言い直した呼び名の理由さえ分からず、私は聞き返すことしかできない。
「お前ほど音楽を素直に表現できる人間を俺は見たことがない。あの一ノ瀬より音楽になれるお前は…」
「アイドル向きだって言いたいの?」
「辛いことかもしれないが、俺はそう思う。神宮寺も、きっとそう思って…」
「ありがと、真斗。言いづらいことを言ってくれて」
やや強引に彼の言葉を遮る。
彼なりに心配してくれた名前呼びに応えるものの、その言葉をそのまま受け入れることは今の私には難しくて。
「歌うことは好き。曲を作ることも好き。この学園に来て、私はそのどちらも同じくらい好きなことがわかった」
「…」
「でも…でもね。今は何のために歌えばいいのか、曲を作ればいいのか分からなくなっちゃった」
私らしく。
気付けたままに曲を作って、評価も得たはずなのに。
私の曲はアイドルの心惹くものじゃないという。
じゃあ、正解ってなんなの。