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Let's play our music!【うた☆プリ】

第18章 ペア




「」

「日向先生…」


ノックと共に入ってきた先生に真斗が椅子を開ける。
そのまま大事にな、とだけ言った彼が部屋を出て行くのを見届けた先生は私に向き直った。


「具合はどうだ」

「少しだるいです。医者には2.3日安静にしろと言われました」

「そうか…」

「…私は、強制送還ですか?」

「ドクターストップがかかった。学園まではオッサン…学園長が付き添う」


熱があると聞いた時から薄々予想はついていた。
多分、このまま合宿には参加できないと。

でも、こんな気分で帰ると思うと拒絶したくなる。


私はまだ自分自身に答えが出せていないんです。
ペアのことも、何1つ決着がついていない。

こんな状態で学園に帰って、私に何が出来ますか。



「辛いとは思うが、これもお前のためだ…すまない」

「謝らないで下さい、先生のせいじゃありません。私が…私が悪いんです」



自分の中にあるまとまらないドロドロした思いは先生にぶつけたところでどうにもならない。
それが分かっていたから当たり障りのない言葉だけが口を継いで出た。


明日に発つそうだから、荷物をまとめておけ。

そう言い残して先生もまた、部屋を出て行く。




「…っ…く…」



1人になったことで、心の枷が外れたのだろうか。

突然流れ出る涙。

それを拭うこともせず、ただ両手で顔を覆うと泣き続けた。




「…うぁ…!!」




泣くことで、叫ぶことで。
全てを洗いざらい流してしまいたかった。


そうすれば、明日からまた頑張れると思った。





















合宿途中離脱。




1人誰より先に戻った学園で、大きな転機が私を待ち受けていたとは、この時は欠片も思っていなかった。
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