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Let's play our music!【うた☆プリ】

第16章 膨らむ期待



それからはまるで着せ替え人形のように沢山の服を着た。

慣れたように服を持ってくるよう指示して、私に渡してくる神宮寺さん。
おかげで私は試着室から一歩も出ることなくただ渡された服を身につけるだけで済んだ。


こんなすごい店の中をうろついて服を探すなんて多分メンタル的に無理だ。
否応にも目に入る値札に眩暈がして逃げ出すに違いない。


「うん、どれも似合うよ。綺麗だ」

「ありがと、選んでくれた服が結構好みだったから結構私も楽しんじゃった」

「それは良かった。君の為に選んだものが気に入ってもらえなかったらどうしようかと思ったよ」


ファッションショーのように目まぐるしく服を変え、中にはわりと恥ずかしいものもあったけど楽しかった。

神宮寺さんのセンスはやはり良くて、私に似合うもの、好きなものを的確に組み合わせて持ってくる。
何度か買おうという言葉が漏れ出そうになるのを必死に抑えた。
この店での衝動買いは後々苦しくなることは知っていたから。


「でも一番はやっぱりこれかな」

「…そうだね、私もこれが一番好きかも」


最初に神宮寺さんが持ってきたワンピース。
お互いにそれがお気に入りだっと分かって、つい顔を見合わせて笑う。


「俺たち、気が合うみたいだ」


その時彼が呟いた言葉がやけに頭に残る。



気が合う。
彼が、そう思ってくれている。



それだけが、やたらと嬉しくて。
にやけそうな頬を押さえた。



「じゃあこれを」

「かしこまりました」



そんな私の後ろで神宮寺さんが会計をすませる。
店員との会話でハッと我に帰った私は慌ててカバンから財布を出して駆け寄る。


「神宮寺さん!私が…」

「俺が連れて来たんだから俺が払うよ。プレゼントってことで」


パチリとウインクを決められては何も言えない。
渡された紙袋を大事に抱きしめて、深々と頭を下げた。



「そんなに畏まらないでよ、俺の気持ちなんだから」


笑いながらそう言う神宮寺さん。
その彼の笑顔と言葉に、つい期待をしてしまう。





もしかしたら、彼も私と組みたいと思ってくれているなんて。



私を思ってくれているのかも、なんて。
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