Let's play our music!【うた☆プリ】
第16章 膨らむ期待
店を出ると、ちょうど奥の方から音也と四ノ宮さんの姿が見えた。
「音也!四ノ宮さん!」
「あ、いたいた!那月見つけたよー!」
神宮寺さんと共に2人に駆け寄る。
四ノ宮さんにはちゃんと眼鏡がかけられていて、音也が頑張ってくれたことがわかった。
「ありがとう、音也」
「大丈夫、待たせてごめん」
「、とっても可愛いピヨちゃんグッズがありましたよ〜後でお揃いをまた買いましょう」
「本当?…ふふっ、楽しみだね」
ようやく元々のメンバーになったところで、遠くから華の声が聞こえた。
どうやら向こうも買い物が終わったらしい。
「じゃ、俺もこれで」
ひらひらと手を振って去っていく神宮寺さんを、気付けばじっと見つめていた。
もう少し一緒にいたかったな。
「…何考えてんだ私」
「?何か言った?」
「っ、何も!」
随分と乙女な思考になった自分を2人に見られないように軽く叩くと、3人で再び歩き始めた。
「は音也くんのことも名前で呼ぶようになったんですね」
「あぁ、うん。朝そう話したの…で、さ」
「はい?」
「四ノ宮さんのことも、名前で呼んでいいかな?…もっとあなたと仲良くなりたいんだ」
きょとん。
まさにそう呼ぶに相応しく目を丸くさせた四ノ宮さん。
しかしやがて顔を輝かせて、
「はい、嬉しいです」
笑ってくれた。
"名前で呼んでやれよ、喜ぶぜ"
「…あなたの言う通りだったよ、砂月」
「?何か言いましたか?」
「ううん、何でもないよ、那月。これからよろしくね」
「もちろんです、」
そうして、一緒に回った記念にと3人でお揃いのピヨちゃんのボールペンを買って、その日は終わった。
「…あれ、私合宿用のもの何買ったっけ?」
「、どうしたの?帰るよ!」
「あ、うん!」
まぁ、良いか。
もっと大切なものを手に入れたから。