Let's play our music!【うた☆プリ】
第16章 膨らむ期待
「…それを俺に聞いてどうする?」
対する彼は逆に質問してきた。
その目は相変わらず鋭くて、少しでも妙なことを言えば剣のような視線で貫かれそう。
「自分が変わったことを俺に褒めて欲しいんならそれはただの甘えだ」
「…分かってる。これが甘えだって」
「あぁ?」
今の自己を肯定してほしい。
それは自信に繋がることであり、今の自分に満足してしまうことでもある。
"今のお前は悪くない"
そう言われたら、このままで良いんだと思って成長することをやめてしまうのではないか。
砂月さんの真意はここにあるのだ。
「でも、誰より先に私が私じゃないと教えてくれたあなたにどうしても聞きたかった」
己を肯定して欲しいんじゃない。私は自分が変化したことを肯定して欲しいのだ。
「私は今、麗奈?」
砂月さんは答えない。
答えない代わりに、小さな声で口ずさんだ。
「…"myself"」
それは、私が作った歌だった。
「…悪くねぇ歌なんじゃねぇの?」
「…っ!!」
彼は、私自身ではなく、"私の歌"を肯定した。