Let's play our music!【うた☆プリ】
第2章 前途多難な新学期
昼食を食べようと華に誘われ、食堂へとやって来る。
食堂までの道のりは長く、あやうく迷いそうになったがなんとか辿り着くと、既にそこは多くの人で賑わっていた。
「何食べる?私並んどくよ」
「んー、じゃあパスタ。私席とっとくね」
華と短い会話を済ませ、席を取る彼女と別れて列の最後尾に動く。
すると、途中で誰かと肩がぶつかった。
「わっ」
「あっ…す、すみません!」
「春歌、大丈夫?」
春歌と呼ばれた女子生徒は勢いよく頭を下げてきて、慌ててこちらも大丈夫だと返した。
彼女の友人らしき女生徒も寄ってきて、なんとなく会話する流れになる。
「あなた見ない顔ね、Sクラス?」
「え、うん」
「すっごー!私、渋谷友千香。よろしく!」
「です、よろしく」
「ほら、春歌も!」
「あ…七海春歌です」
2人はAクラスだそうだ。
クラスについて特に考えてことはなかったが、友千香さんによるとSクラスは成績上位者のみが入るクラスらしい。
「すごいね、アイドル志望?」
「ううん、作曲家」
聞くと春歌さんも作曲家志望らしい。
一緒に頑張ろうねと笑いかけてくれた彼女につられて、思わず私も笑顔を浮かべた。
「春歌さん、友千香さん」
「友ちゃんで良いって!で、何?」
「わ、私も春歌って呼んで下さい!」
「…じゃあ、友ちゃん、春歌。Aクラスの担任って誰?」
「?月宮林檎だったよ」
月宮さん…。
お仕事をご一緒したことのある人が同じ学園にいるのは少し気恥ずかしい。
アイドルではなく作曲家志望なのだから尚更。
でも、あの人にはお世話になったから機会があれば挨拶したい。
そう思っていると華を待たせていることを思い出して、2人と別れると慌てて列に並んで食事を貰った。
「!こっちこっち!」
辺りを見渡していると華の声がして、見ると彼女が手を振っている。
そちらに歩いて行くと、そこにいたのは彼女だけではなくて。
「あれ、お前…」
「さっきの…」
HR中、日向先生で盛り上がった男子生徒と、やけにセクシーな雰囲気を纏う男子生徒がいた。
「名乗るの忘れてたな、俺は来栖翔!」
「です」
「おやおチビちゃん、そのレディは誰だい?」
来栖くんと改めてよろしくと握手を交わすと、急に誰かに後ろから引き寄せられた。