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Let's play our music!【うた☆プリ】

第2章 前途多難な新学期


引き寄せたのはもう1人の男子生徒。

低音で甘い声の彼は流れるような動作で私の髪に口付けると、名を聞いてくる。

「、です」

、ね。
耳元で囁かれる自分の名はくすぐったくて、思わず身を引いた。
前方で来栖さんがおいっと叫ぶ声を流しながら、男子生徒は私の反応を面白がるようにさらに私に寄ってくる。

かと思いきや。

「ちょっとレンくん!にちょっかいかけないでよ!」

華の声と共に、私とレンと呼ばれた男子生徒は引き剥がされる。

「ちょっかいとは酷いな、レディには声をかけるのが普通だろ?」
「貴方の場合他の女子の目が怖いのよ!この子を巻き込まないで!」

2人が言い争う声を聞きながら、来栖さんに促されてテーブルに食事を置く。
どうやら華が取った席はこの2人との相席らしく、軽く礼をしてから席に座った。

「ごめんね、この人は神宮寺レン」
「よろしく、レディ?」

彼のウインクをさらりと流して華の話を聞く。
どうやら彼が先日話題になった神宮寺レンのようだ。

「この2人もSクラスなんだけど、気付いてた?」
「来栖さんとは…」
「翔でいいって!とは龍也先生との話で盛り上がったんだよな!」
「まぁ、盛り上がったというか何というか…」

他愛ない話をしながら食事を進める。
最初はどうなることかと思ったが、神宮寺さんと翔くんは割と仲が良いようで、すぐに雰囲気は和んだものに変わった。

「仲良くなるの早いのね!」
「華だって神宮寺さんと仲良いじゃない」
「私達は腐れ縁!前から知り合いだもの」
「ほんと、華はうるさくて堪らないよ」
「ちょっとそれどういうこと?!」

口論をしながらも神宮寺さんと話す華は嬉しそうだ。
あまり邪魔をしないように出来るだけ翔くんと会話をしていたけれど、なぜか神宮寺さんはやたらと私に絡んでくる。

その時の華の視線がひどく寂しげで、直視できなくて。

これからの生活にほんの少し不安を感じながら、私は神宮寺さんから顔を背けた。
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