第9章 さよなら、リトルガール クロス元帥夢??
ポロポロとまなじりから涙がこぼれだしてくる。その様子にほだされたように身じろぎする彼に私は低い声音でつぶやいた。
「あなたも動いたら不慮の事故としてぶっ殺すわよ」
動きを止めた彼に私はようやく少女に拳銃を向ける。
「わたしがなにをしたっていうの? わたしなんにもしてない!」
その言葉に私は笑みを浮かべた。
「そう、だからあなたの潔白を証明するの」
引き金をひいた。乾いた音が部屋に響く。残響がこだまし空の薬きょうが落ち、転がる。
少女の右肩には穴が開き、そこから黒い血とともに歯車が零れ落ちた。
そして、少女は痛みに苦悶することなく口端を釣り上げた。唇には黒い血をてからせて。
ファインダー君は小さく悲鳴を上げへたり込んだ。私はイノセンスで弾を放つ。転換される前に急所になりうる場所をすべて撃っていく。マーダ―は腕がちぎれ足が吹き飛び、四足をなくした人形のようになった。
マーダ―は動けないことを悟ると口惜しげに顔を歪めながら体を異常に膨らませ始めた。自爆するつもりなのだ。腰を抜かしたファインダーを蹴り上げ叫ぶ。
「結界展開させて!!」
はっとして動き始めたファインダー君は慌てて結界を手に取りいじり始める。彼が結界を展開させたその刹那マーダ―は何倍にも膨れ上がり爆発した。
部屋が閃光に包み込まれる。私は結界の中でファインダー君に覆いかぶさり爆発の衝撃を受けた。
私の意識はそこで途切れた。