第9章 さよなら、リトルガール クロス元帥夢??
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意識がはっきりしてくると目の前には銃口があった。それを見て私はあぁ、と自分の中で納得した。私は夢を見ているのだ。遠い遠い私が幼いころの記憶。既視感はこれだったのかといまさら納得する。
銃を持っていたのはすらりとした長身の男だった。頭にはシルクハットをかぶり、服に似合わない無造作で整えていない長髪。彼は面倒そうにこちらを見ている。
「お前、人間か?」
彼の問うている意図がわからず、私はただ震えているだけだった。腰を抜かし、言葉をかえすほどの余裕なんてなかった。
だって、今よく知っていたおじさんが尋ねてきて、私の父と母をバラバラにしたのだ。頭がついていくはずなんてなかった。その様子に彼は盛大にため息をつく。
「ま、いいわ」
言って彼は手を差し出した。よくわからず首をかしげているとじれったくなったのか彼は私の手を無理やりつかんで勢いで立たせた。
力強いその手は温かくて、さっきの惨劇が嘘のようで、嘘であってほしくて私は声をあげて泣きじゃくった。やっと状況が頭に入ってきて言葉にならない声を上げていた。
その様子を彼は私の手を引きながらめんどくさそうに頭をかいてうるせぇなぁというだけだった。
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