第4章 夜の先 進撃 アルミン夢
そしてかなりの年月が過ぎた今、私たちといえば壁外を出て少しばかり夢を叶えたが、失った物のほうがはるかに多かったように思う。
同期は半数がいなくなり、巨人どころか人間との戦いに躍起になっている。
そして昨日、アルミンはジャンを助けるために人を撃ち殺した。仕方がないことだった。仲間を助けるためにはそれしか道がなかった
それが尾を引いているのかアルミンはみんなから離れてうずくまっていた。私は側にいることしかできなかった。
茂みで木に寄りかかりながら彼は涙と胃液で顔をぐちゃぐちゃにしている。
アルミンは吐き出せる物がなくなっているはずなのに嗚咽が止まらない。
震える彼に何も出来ることがない私が歯がゆかった。背中をなでて仕方がなかったんだよと言い訳のように言葉を何度も繰り返した。私だってやろうと思えば相手を撃ち殺せる場所にいたのに、何もできなかった自分から目をそらせてアルミンの側に居続けた。
ーー私が代わりに撃てばよかったのに。
今悔やんでも彼の気持ちは軽くはならないのに。
「ねぇ、アルミン」
「……なに?」