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色々詰め合わせ(短編)

第4章 夜の先 進撃 アルミン夢


幼少時の彼の印象は、みんなで守ってあげなきゃいけない存在だった。

背が低く、か弱そうに見える風体からいじめっこにとってアルミンは格好の的だった。攻撃のされ方もパターン化されていて、アルミンが路地裏に連れて行かれ、取り囲まれている状況を見たエレンがいじめっ子達に突撃し、その背後でミカサが一撃で相手をのしていき、そしてそれを見守る私、というのが毎度の図式だった。見慣れたその光景に呆れて私は一度アルミンに尋ねたことがある。

どうしていじめっ子達の言葉に反論するの?と。

ことの発端はいじめっ子がアルミンの夢をからかうことで、彼が言葉で激しく言い返すからだった。それさえしなければ殴られることなく、平穏無事に生きていけるのになぜそうしないのか。だから私はそれをやめたらいいのにというと、決まってアルミンは表情を歪める。

そしてアルミンはむすっとした顔でこう言うのだ。

僕は夢があるんだと。それを馬鹿にされるのは誰かに罵倒されたり殴られたりされる以上に嫌なんだと言った。

当時夢がなかった私にとってその言葉はピンとこなかったけれど、真剣な眼差しで語るアルミンの目がとても羨ましかったように思う。

そして目を輝かせて壁外のことを語るアルミンは私にとっての憧れだった。

大きな水溜りの話や、その中で大きな魚が生きていたり、山から火が吹き出したりする光景を見てきたかのように語るアルミンが好きだった。嬉しそうに一生懸命話すアルミンを見て私の気持ちが憧れから、恋心に変わるのはあまり遅くはなかったように思う。
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