第2章 運命の出会い
周りをキョロキョロしていると、お酒を片手にソファに一人で座っている人がいた。
その人は黒髪でマッシュヘアーの男の人で、顔はもろ私のタイプだった。
これを世間では一目惚れと言うのだろうか。
なにあの人かっこよすぎるんだけど。
こんな人いっぱいいるところで一人で堂々と座ってるあの感じ、かなりやばい。
これは大爆音だからじゃない、本当に心臓がドキドキしてる。
私が一人で舞い上がっている中、葵達は匠さんとの会話を終わらせてたようだったので、即報告することにした。
『ねぇ、二人とも。私、一目惚れした』
私の急な発言に2人は、えっ!?と大爆音に負けないくらい大きな声で驚いた。
『誰?誰??』
あの人、と、ソファに向かって軽く指を指す。
『え、龍樹さんじゃん』
『葵知り合い?!!』
『匠さんと同じバンドの人だよ!』
まさかの匠さんのバンドメンバーだったとは。
でもラッキーだよね、より近くにいけるわけだし。
『話しかけに行ってみる?』
『え!!いいよいいよ!』
私は、手を何度も顔の前で振った。
『え、なんでー?いっちゃいなよー』
と、詩穂が私の背中を軽く押す。
優柔不断な私に愛想つかしたのか、葵が私の手を引き、龍樹さんの元へと連れて行く。