第11章 赤い夫とキセキとの夜
『待って…………。無理』
私は征十郎の肩を押した。
「無理じゃない。俺はやめない」
『皆起きるって』
「この部屋が防音なとこ忘れてないかい?」
『あ………。忘れてた』
征十郎は一瞬できた私の隙をにがすまいともう一度深く深く唇を合わせた。
『んっんっ………』
顔が暑い。角度を変えるたびにできる隙間から出るお互いの息が混じる。
ゴクッ
私は口いっぱいに広がる唾液を飲んだ。征十郎は鼻と鼻が触れるギリギリまで離した。
「もう…………力……入ってないね」
征十郎は肩で息を吸った。そして私が抵抗する間もないうちに私の服を脱がしていった。布が擦れる音が耳に入る。
『次……私が脱がす。私だけなんは嫌や……………』
「くすっ。じゃあどうぞ」
征十郎は私を征十郎の上へ跨らせるような体勢にさせた。
「ほら。脱がせて?」
私は征十郎の顔を見下ろした。
『じゃあ。失礼します』