第2章 赤い夫との朝
ただ触れるだけのキスをして離れた。私は少し赤い顔になり目の前にいる夫の顔を見た。口に少し弧を描きながらもう一度「美桜。おはよう」と言った。
『………おはよ。ご飯作るから離して』
征十郎はすっと離してくれた。そして私はご飯を作ろうとベッドを降りた。
「昨日言い忘れていたが、今日朝から会議だから」
『………………………え?ほんまに?』
「ああ」
私は会議が苦手だ。あのなんとも言えない空気感が嫌だ。しかも朝からとなると嫌気が倍増する。思わず顔が苦虫を噛み潰したようになった。
「そんな顔しなくても」
『だって嫌やもん。何で昨日言わなかったの』
「すまない」
私の顔が面白かったのか笑いながら謝った。