第5章 赤い夫との風邪
『はぁ………はぁ………』
私は息を整えた。
『うつるからあかん。そんなんあかん』
私は熱とさっきのキスで頭の回転が追いつかずカタコトな日本語になってしまった。
「大丈夫だ。運動もしてるししっかり寝てるしバランスのいい食事もしている。だから大丈夫だよ」
征十郎は私を安心させようとしてか、優しい口調で言った。だが物足りなさそうな顔は変わらなかった。
『そうかもやけど………』
征十郎はもう一度しようとしたので自分の手を口に当てた。
『も、もうしんどいから………。熱下がってからにして?』
私は却下されるかと内心、心配していたがあっさりと肯定してくれた。
「わかった。じゃあ熱が下がるまで待つよ。じゃあ早く下げるために寝ようか」
征十郎は私を横抱きにして寝室へと運んだ。