第22章 赤い夫との同棲
「だが……『私は!!』」
私は征十郎の声に被せて言った。征十郎は驚いて少し肩をはねさせ、目を見開いた。
『私は征十郎と暮らせることになって嬉しいと思ってるし、今となってはわくわくしてる。もちろん最初は驚いたし、早すぎやろって心底思ってたけどでも今は全然そんな気持ちはないよ』
私は征十郎に向かってはっきりと言った。
『でもやっぱり管理人さんと離れるのは悲し……』
さっきの仕返しだろうか。征十郎は私を最後まで言わせてはくれなかった。なぜなら、征十郎は私の頭を持ちそして引き寄せた。私は征十郎の肩に収まった。
「俺はその言葉を聞けただけでいいよ」
征十郎は私の横で小さな声で囁くように言った。
その瞬間、私の目に一筋の涙が零れ落ちた。
───1週間後───
『やばいやばい』
私はわたわたと洗濯物をベランダに干していた。
「大丈夫かい?」
『もう少し……!!!』
「手伝うよ」
征十郎はベランダへと顔を出して言った。
『ありがとう』
私は征十郎との生活を楽しんでいた。
初めは慣れないこともあり戸惑っていたが、こうして征十郎が手伝ってくれたりするので難なくこなせるようになってきた。
そしてこの時はまだ征十郎の中にある"とある計画"を私は知らなかった。