第22章 赤い夫との同棲
「じゃあ行こうか」
征十郎は私の肩へ手を回す。
「美桜ちゃんの母親ではないからこんな事を言うのもなんだけど……。美桜ちゃんと仲良くね。笑顔でいさせてあげてね」
私はその言葉を聞いただけでもまた新しい涙が溢れ出た。
「もちろんです。俺が一生かけて、美桜を幸せにします」
征十郎は決意をしっかり持った目で言った。
『征十郎……』
「その言葉を聞けてとても安心したわ。引き止めてごめんなさいね。会社、そして新しい生活へと行ってらっしゃい」
笑顔で言った管理人さんの目には少し涙で光っていた。
「……大丈夫かい?」
征十郎の車に乗り込んだ私たちはまだ車を走らせてはいなかった。
『……ごめん』
「いや、俺は全然大丈夫だよ。美桜が泣いたことにはびっくりしたが……」
征十郎は私の背中を優しくさすりながら言った。
『正直自分でもびっくりしてるよ』
「良い管理人さんだったんだね」
『うん、すごくいい人だった。上京したての私をすごく面倒を見てくれた。いろいろと家事の仕方とかご飯とか教えてくれた』
「そうだったのか……。なんかいきなり引っ越すとか悪いことをしたな……」
『ははっ今さらもう良いよ』
私は征十郎の顔を方へ向き笑っていった。