第22章 赤い夫との同棲
「はい。赤司グループ現社長、赤司征十郎です」
征十郎はもう一度にこりと自分の名前を言った。
「ちょっと!!美桜ちゃん!ほんとに!?」
管理人さんはバシバシと私の肩を叩く。
『あ、えと、本当です』
私は苦手をしながら管理人さんへと応えた。
「そんな事ならもう少し化粧をしてこれば良かったー!!」
『あははははは』
私はどう返事をすればいいのか分からずとりあえず笑っておいた。
「では、そろそろ時間ですので……」
征十郎は申し訳なさそうな顔を浮かべて言った。
「あ!そうね!!ごめんなさい。美桜ちゃん今までありがとう。娘を送り出すようで悲しいわ。旦那さんと仲良くね」
『……はいっ!!!今まで……ありがとうございました!!』
私は結婚はしていないと言おうかと思ったが、悲しさが勝った。管理人さんにはいろいろとお世話になった。ご飯を分けてもらったりした。そんな事が走馬灯のように蘇る。
「美桜ちゃん、泣かないの。これから楽しい生活が待っているんだから。前を向いて、笑顔で行ってちょうだい」
『はい……!!』
私は絶対不細工だろうが管理人さんに言われた通り、笑顔で返事をした。
「じゃあね。美桜ちゃん」
『今までありがとうございました!!お元気で』
私は深々とおじぎをして言った。