第22章 赤い夫との同棲
『あっ……!ちょっと待って!!』
私はもう一度ぺこりとおじぎをして征十郎の後を追って走った。
私が玄関を開けると少し離れた所で征十郎が立ち止まっていた。
『はぁ…はぁっ……。ごめん、お待たせ』
「ああ。大丈夫だよ」
征十郎はそういうとエレベーターのボタンを押した。
……待っててくれるって優しいな。
私は征十郎の小さな優しさを心の中で噛み締めた。
『今日は征十郎の家へ帰ったらいいの?』
「ああ。だから仕事が終わるまで待っててくれ。一緒に帰ろう」
『私の方が遅かったらごめんね……』
私は苦笑いをして言った。
エレベーターで下に降りると管理人さんが立っていた。
『あ!おはようございます!!』
「おはよう。引っ越すのがいきなりでビックリしたんだよ」
『すいません……ご迷惑をおかけしました』
「いいんだよ。ところでそちらの人は……?」
「赤司征十郎です。この度はいきなりの引越しで申し訳ありませんでした」
征十郎はにこやかに言った。
「あらっ良いのよそんなの!え、待って、赤司って……あの赤司グループの!?」
管理人さんは征十郎のスマイルにやられてか少し頬を染めた後、少し考えて驚きの声を上げた。