第22章 赤い夫との同棲
「じゃあ出勤する準備と最後の荷物詰めをしようか」
征十郎は立ち上がって少し伸びをして言った。
『うん。分かった』
私たちは最後の準備に取り掛かった。
「準備は出来たかい?もうトラックが着いたらしい」
征十郎はスマホを見ながら言った。
『出来たよ』
私はキョロキョロと周りを見てざっと確認をしてから言った。
「じゃあここへ来るように言うよ」
そしてすぐに業者の人たちがやって来た。
「征十郎さま、美桜さまおはようございます」
ガタイががっちりした、少し髭のはえた人が私たちの前へ現れて挨拶をした。
「おはよう。久しぶりだな」
『おはようございます。今日はよろしくお願いします』
私はおじぎを返した。
「では早速頼む。美桜、鍵を」
『う、うん。あの、これ鍵です……』
「ありがとうございます」
指揮官らしいその男の人は私の手から鍵を受け取ると、何やら部下の人たちへ指示を出した。
「では会社へ行ってくるよ。美桜行こう」
征十郎はそう言うと玄関の方へと体を向けた。