第22章 赤い夫との同棲
俺は美桜の顔をのぞき込むようにして見た。
美桜は眉間にシワを寄せて目をぎゅっと瞑っている。頬は涙で濡れていた。
「美桜、目を開けて」
俺が美桜に声をかけるとゆっくり目を開けた。
美桜の目は涙で潤んでいて、美しいと思った。
「どうして泣いてるんだい?」
俺は美桜に問いかけた。
『だ、だって……』
考えがまとまってないのか目を逸らしながらぎこちなく言った。
「ゆっくりで良い。考えがまとまってなくてもいいから、とりあえず話して」
『……なんか自分が惨めになった。征十郎を怒らせて、ほんで反省したけど全然どうしたらいいのか分からなくて、挙げ句の果てになんか寂しくなって甘えて。このままだと私、ただの駄目駄目な彼女になってまう。そう考えるとなんか悔しいし惨めやし悲しくなって…………』
言い終えるのと同時ぐらいに美桜の目から大粒の涙が零れ始めた。
「俺は確かに怒ってたけど、でもそれは少しずつ直していけばいい。初めから衝突などが無いカップルなんていないだろう?それに、俺のことを考えてくれるだけで俺は嬉しいと思うよ。惨めだとか悔しいと思うのは俺のことが好きで大切だと思っているからだろう?」
俺は美桜から手を離し、しゃくり上げながら泣く美桜の涙を手で優しく拭いながら言った。