第22章 赤い夫との同棲
「バスケの方が恋愛より簡単で分かりやすい」
『私にとっては両方難しいよ』
さっきまでの怒った征十郎はいなくて、私たちの間に穏やかな空気が流れ始める。
「美桜さっきは怒ってすまなかった」
『謝るのは私の方!征十郎は悪くないよ!!』
「ああ。じゃあそう思ったおくよ」
そう言った征十郎の横顔を見ると、嬉しそうに口元に弧を描いていた。
「着いたよ」
『朝も送ってもらったのにありがとう』
征十郎は私のマンションの駐車場に車を停めた。
「これから引っ越し準備だな」
『だいぶ外暗いけど準備して大丈夫かな………』
私はエレベーターのボタンを押しながら言った。
「素早く終わらそう」
そして、私の部屋へと着いた。
『……どうぞ汚い部屋ですが』
「お邪魔します」
征十郎は礼儀よく靴を脱ぎ、揃えた。
『とりあえず私のジャージ着る?スーツで準備するのはさすがに皺付くから………』
「そうだな。じゃあ貸してもらっても良いか?」
『もちろん。取ってくるから少し待ってて』
私はそれだけ言うと服を取りに寝室へと走った。