第22章 赤い夫との同棲
征十郎は私のよくわからない文がぐちゃぐちゃな言葉を理解してくれたのか、少し表情が和らいだ気がする。
「俺は……。いつも上だった」
征十郎はポツリと言った。
「だから、美桜が彼女になって、等しい立場になって嬉しいと思ったのだろう。でもやっぱり上なんだと感じて嫌だと感じた……」
征十郎はゆっくり考えながら言った。
「すまない。俺も自分で何を言っているか分からなくなってしまった……」
征十郎は少し頬を赤くして言った。
「恋というのは難しいな」
征十郎は悔しそうだが、どこか嬉しそうな顔だった。
……な、なんだ。征十郎が可愛く思えてきた。
『可愛いな…………』
私はぼそりと言った。
「え?可愛い?今、可愛いと言ったか?」
征十郎は地獄耳なのだろうか、聴こえていたらしい。
『だ、だって!いつも完璧やったし、女の子の扱いとか慣れてそうやし、難しいとか思ったこと無さそうやったのにまさか、恋は難しいとか言うとは思ってなかって…………』
「……俺だってそんなこと言ったことないよ」
征十郎は口元を隠して頬を赤くして言った。