第22章 赤い夫との同棲
「じゃあキスして」
『………するために私乗ってるんじゃないの?』
私は少し困惑した顔で言った。
「うん。そうだね。目瞑って」
『………初めからそう言ったらいいのに』
私はゆっくりと目を閉じた。
征十郎の顔がだんだんと近づいてくるのを感じる。そして、唇に柔らかいものが触れる。
私は長くされると思っていた。だが征十郎はすぐに離れていく。
『………え?』
私は驚きの声をあげた。
「え?って………」
征十郎は目を細めて言った。
『だってディープキスされると思ってたから……』
「じゃあしようか?」
征十郎は顔を近づける。
『ちょ、そうじゃなくて!』
私は征十郎の口を手で塞ぐ。
『つ、続きはまた今度で……?』
それだけ言うと征十郎は私の手首を掴んで離した。力の差で、抵抗出来なかった。
「一緒に住むのにか?」
あ、忘れてた………………。
「忘れてただろう」
『わ、忘れてないよ』
「もう少し分かりにくい嘘をついたらどうだ」
征十郎は少し呆れて言った。
『………ごめん』
「別にそんな謝らなくていいよ。とりあえず、引っ越しの業者を呼んで明日俺の家へ置いてもらうか………」
征十郎は私を引き寄せて少し体重を預けてきた。
『早くない?私1週間ぐらい先だと思ってた。』
「善は急げだ」