第22章 赤い夫との同棲
私は言われたとおりにするか躊躇った。
「美桜。社長命令」
征十郎はにこりと言った。
『…………それはずるい』
でも雇われている身。逆らう事は出来ず、征十郎に背を向けて座った。
「………逆向いて?」
征十郎は私の耳元で言った。
『つっ……』
耳が熱くなる。
「ほら、早く」
征十郎がまた言う。今度は唇を耳につけて。
私は堪らず立って、征十郎の肩にあごを置いて座った。
征十郎は私の背中へ手を回す。
「社長命令だと聞くんだね」
『……命令ですから』
「へぇ…………」
私は征十郎の声が黒くなるのを感じた。
やばい。これは絶対変な命令してくる。やってもうた。
私は心の中でやばいやばいと焦る。
「じゃあ…………」
来るっ!!
「セックスしようか。ここで」
『………………はぁ!?な、何言うてんの!?さっきまでキスしたい言うてたんちゃうん!?というかここ会社!!』
私は征十郎の肩に置くのをやめて顔を征十郎の前へ移動させ、大きな声で言った。今は社長とか関係ない。
「大きな声出さないでくれ」
征十郎は眉を寄せる。
『出させたん誰やねん!』
私は征十郎の両頬を手で挟む。
『絶対ここではセックスしない。ここは会社。そんな行為するところ違う。たとえ征十郎の会社でも』
私は征十郎の目を見て言った。