第22章 赤い夫との同棲
『あと、昨日のメールの事だけど、呼んでない……よね?』
私は横にいる征十郎の顔を見て言った。
「ああ。俺が寝る前に見たからキャンセルしておいたよ」
征十郎はもちろん運転中なので私の顔は見ず、前を向いて言った。
『同棲ってほんまにするつもり……?というか誰の家?部屋借りるの?』
「俺の部屋で住むつもりだ。何か問題あるか?」
『問題って……。会社の人たちにバレたらどうすんの!?』
「ああ。その事だが父さんに言ったら許しが出たよ。だから問題ない。それに俺が住んでいるマンションは父さんが経営しているから家賃もいらない。俺が1人で住んでいるから空き部屋もある」
征十郎はさらっと言った。
私はいろいろ言われて頭の中が追いつけない。
『ちょっと……整理させて。お父さんに言ってお許しをいただけたんだよね……?え。なんで?そこは良家を出てないといけないとか、許嫁がいるから駄目だとかそんなの無いの?』
「……どこからそういう想像が出てくるんだ。父さんは俺が選んだ人だから良いと言っていたよ。それに美桜のことは秘書になる上で父さんに報告してあるから知っていたんだよ」
征十郎は少し呆れ顔で言った。
……。もう断るところ無いやん。むしろ良いやん。
それが私の本音だった。