第21章 赤い夫との結婚
「…………そんなに恥ずかしがらないでくれ。俺も恥ずかしいから」
征十郎の声は本当に恥ずかしそうな声をしていた。
『うん』
私は征十郎をいま1度きつく抱きしめた。
あれからしばらく抱き合った後、下へと降りて私のマンションまで送ってもらった。
『今日はありがとう』
私は車の窓へ少し顔を近づけて前屈みに言った。
「こちらこそありがとう」
征十郎は運転席の窓から私を少し見上げてお礼を言う。
『せ、征十郎……。これから…よろしくお願いします』
私は少しお辞儀をした。
「……美桜」
私は名前を呼ばれ前を向くと、征十郎が窓から身を乗り出し私の首へ手を回して私を引き寄せ、短くキスをした。
『な、何…………』
「やっと名前呼んでくれたね。じゃあ良い夜を。また明日会社でね」
それだけ言うと車を走らせて帰って行った。
『は……!?』
私はぽかんとして、征十郎の車が見えなくなるまでその場へ立ちすくした。
とりあえず家の中へと入りお風呂を入ったりしているとメールの着信音がなった。
それは征十郎からのメールだった。