第21章 赤い夫との結婚
「その写真また送ってくれないか?」
『いいよ。これ全て送ると多いから厳選して送るね』
私は写真を撮りながら返事をする。
「今日は楽しかったかい?」
私は撮るのを止めて征十郎の方へ振り返る。
『………』
征十郎が私を見つめる。
『楽しくはないよ。楽しいより嬉しかった。私が行きたかったところへ連れてきてくれたし、なにより…………』
「なんだ?」
『自分の気持ちに嘘をつかなくて良かった。信じて良かった。そして、征十郎と付き合えて良かった』
征十郎は少し目を見開いて、私の手首をひいて私を抱きしめた。
「俺も嬉しいよ。誰かの側に居たいと思ったのは初めてだ。ずっと笑わせてあげたいと思ったのも初めてだよ。…………美桜、好きだ」
私の目から涙が零れ始める。
『うん……。私も好き』
私はしっかりと征十郎を抱きしめた。
征十郎は私の肩を押して離れ、頬に手を添えた。
「泣くな。俺まで泣きたくなる」
征十郎は私の涙を親指で拭い、ゆっくりと顔を近づけた。
私はそっと目を閉じた。
私たちの初めてのキスはそっと触れるだけのキスだった。
そして、少ししょっぱかった。