第21章 赤い夫との結婚
「これからよろしくね。美桜」
征十郎は手を差し出して言った。
『はい。よろしくお願いします』
私はそっと征十郎の手を握り返した。
「……じゃあ続き食べようか。すまない。冷めてしまったね」
『まだほんのり温かいから大丈夫だよ』
「そうか」
私たちの間によくわからない空気が流れ始める。
『あの、赤司くん……』
「これを機に名前で呼んでみようか」
征十郎がにこりと笑って言う。
『な、なんでいきなり…………』
「呼ばないと返事しないよ」
それだけ言うとまた食べだした。
『くっ……。せ、せいじゅ…ろう』
「はい。もう一度」
『征十郎!!』
「よく言えました」
征十郎がふっと笑って、少し身を出して私の頭をくしゃりと撫でる。
「顔真っ赤」
『……誰のせいや』
私はお肉を頬張った。
私たちはご飯を食べ終えて屋上へと移動した。
『うわ…………。すごい』
私は一面に広がる明かりに目を奪われていた。
「落ちないでね」
『さすがに落ちないよ』
私はスマホを取り出してパシャパシャと夜景を取り始めた。