第21章 赤い夫との結婚
私たちはしばらく抱き合っていた。
征十郎の匂いと少しの香水の匂いが私の鼻腔をくすぐる。
キスをした恥ずかしさから私は顔を上げることが出来ない。
…………。やばい。キ、キスしてもうた……。恥ずかしい恥ずかしい。
私は征十郎の唇の感触などを思い出し顔を熱くする。
「……美桜」
『つっ!は、はい!!』
私は名前を呼ばれビクッと肩を震わす。
「もう一度キスしてもいいか?」
『…………え?』
征十郎は私の両肩を掴みゆっくりの離した。
「キスしたい」
征十郎は私と目線が合うように少し屈んで言った。
『…………』
私は顔を右にそらす。
「こっち向いて」
征十郎は私の顎に手を置いて顔を戻させた。いわゆる顎クイだ。
「していいかい?」
『…………ど、どうぞ』
もう逃げられないし、性欲は元々無いほうだが全くないわけでは無いので、もうどうにでもなれと割り切ることにした。
なんて後付けの言い訳を考えている間に征十郎の端正な顔が近づく。
…………やっぱ綺麗。
私は長年思っている事を改めて思い、そして目を閉じた。