第21章 赤い夫との結婚
『まさか……な』
そう。私は秘書であり部下だ。そんなことはない。と断言したかった。
『嘘やろ…………』
私はずるずるの下へ扉にもたれかけながら座った。
『今度どうしよ。というかまずは、今どうするか……』
征十郎を待たせているので早く戻らなければならないと思っているのだが足が動かない。
『はぁぁぁぁぁぁ』
私はもう一度大きなため息をはいた。
~征十郎目線~
美桜を見送った俺は出された茶を少し飲み、夜景へと目を落とす。
俺の中で美桜という存在がどんどんと大きくなっていっているのが分かる。
「美桜……」
俺は小さくつぶやいた。
さっきの赤い顔といい、挙動不審な態度を見る限り、俺に何か気があるのではないかと思うしかなかった。
それはとても嬉しいと思える事だ。だが、果たしてそれは俺に好きだという感情を持っていてされているのか、ただ体調が悪いのか、暑いのか、よくわからない。
「……こんなに女性の事で悩むのは初めてだ」