第21章 赤い夫との結婚
『つっ……!』
ビクッと体がはねた。
「……本当に大丈夫か?」
征十郎が少し眉間にシワを寄せて私に問いかけた。
『うっうん!大丈夫!』
私は少し近づけられた征十郎の顔を見ることが出来ず、横の壁を見て言った。真っ赤で、熱い顔で。
「そうか」
征十郎は怪訝そうな顔で私を見たが、すっと手を離した。
「もうすぐ着くよ」
『うん。楽しみ』
私は少しぎこちない笑みを征十郎に向けた。
チーン
最上階の扉が開かれた。
『わ……。すごい綺麗…………』
そこには東京の夜景が広がっていた。
「綺麗だろう?」
『うん!』
「ここから展望台へ行けるから後で行こう」
『やった!写真撮ろう』
私はさっきまでの動悸や顔の熱さは治まり、今は夜景とご飯の事で頭がいっぱいになっていた。
「美桜がこんなに喜んでくれて良かった」
『ありがとう』
私は征十郎にさっきのぎこちない笑みではなく、心の底から感謝している笑みを向けた。