第21章 赤い夫との結婚
「なんだ。嫌だったのか?」
『いや!全然嫌じゃない!むしろ感謝してます!!』
俺は、美桜の嬉しそうな顔を見て”この表情を崩させたくない。ずっと俺の隣で見ていたい”と思った。
俺は……。出会った時から美桜のことが好きだったんだな……。
『どうしたん?はやく行こ?』
美桜は俺の顔を覗き込むようにして言った。
「ああ。行こうか」
俺は新たに芽生えた感情に思いを寄せて、歩き出した。
~美桜目線~
私たちはホテルの最上階へ行くためエレベーターに乗っていた。
なんでこんなに心臓バクバクしてるの……!
さっきから自分の心臓がおかしい。
「俺は前にここへ食べに来たことがあるよ」
『そうなんや!おいしかった?』
私はさっきから鳴り止まない心臓の音に対抗しつつ、征十郎へ返事をする。
「ああ。とても美味しかったよ。美桜が絶対に気に入ると思う」
征十郎が優しい笑みを浮かべて返事をした。
私は頬が熱くなるのを感じた。
「ん……?どうした。顔が赤い」
征十郎の細くて少し冷たい手が私の頬にそっと触れた。