第21章 赤い夫との結婚
『さすが萌さんですね!』
私はそのまま少し話してから部屋へと戻った。
~同時系列。征十郎目線~
俺はその時社内を歩いていた。社長として会社の雰囲気や社員の仕事ぶりを見るのも社長の仕事だと思っている。
「社長の秘書と国際部のかけ持ちは大変そうねー。あ、そうそう。昨日のテレビ観た?レストラン紹介するやつ」
社員キッチンの前を通りかかった時にそんな声が聞こえた。俺は扉の横の壁へもたれかかった。
『観ました!!高層ビルの最上階で夜景を見ながら食べるお店いいですよね!ここからも近いですし』
美桜と……。この声は佐々木萌か。
よく美桜と一緒にいるので声まで覚えていた。
「やっぱりねー。瑞穂ちゃんならそこに行きたがると思った!」
その店だとこの前食べに行ったな……。あの焼き加減がとても美味しかった。また今度美桜を連れていってあげよう。どのような反応をするのだろうか。
俺は密かにそんな企みを考えてその場を去った。
そして現在に至る。
俺は美桜と佐々木が話しているのをたまたま聞いたと言った。当の本人は驚いて言葉が出ずに固まっている。