第4章 赤い夫との夜
征十郎は私の反応を楽しむように耳を触っている。
『やめ………ん…………………』
あーーー。征十郎に言われたとおりにするんじゃなかった。油断した…………。
「気持ちいい?」
『そんなんちゃう…………』
頭と反応は真反対だ。何かここから離れる方法を考えなければ。
「美桜。前向いて」
よし。耳から離れてくれる。
私は胸を撫で下ろした。
『ん。わかった』
私は征十郎の方を向いた。それからは何もせず普通に乾かしてくれた。
「乾いたよ」
『ありがと。あ、なんか飲む?』
「じゃあ水をくれ」
『取ってくる』
私はキッチンへと水を取りに行った。