第4章 赤い夫との夜
私はお風呂を上がり、少し掃除してからリビングへと入った。
「美桜。おいで」
征十郎が自分の横に座るよう、ソファをぽんぽんと叩く。私は少し警戒しながら歩いた。
「大丈夫だよ。おいで」
『なに?』
私はソファに座ると後ろ向いてと言い、反対を向かされた。
『え??何すんの?』
するとゴーーと温風が頭に吹いてきた。
「乾かすんだよ。ほら、前向いて」
『あ、ありがとう』
征十郎が頭をわしゃわしゃと乾かす。首筋に髪があたってくすぐたかった。征十郎の指が耳のうしろに当たった。
『つっ………………』
「感じてる?」
征十郎は耳元で言った。
『そこで話さんといて………』
「だって聞こえないだろう?」
征十郎は微笑みながら言った。