第18章 お義父さんからの心配
征十郎が1人で何もかも背負おうとしている事に私は腹が立っていた。
「俺があの場から離れなければ美桜が怖い目に会うことも汚されることもなかった」
ブチッ
あ、もう駄目だ。
『あの時はしょうがなかったやん!!ロバートさんも1人で持てへんかったし!!1人で全て背負わんといて!!!!』
私は立ち上がり、征十郎に対して初めて怒鳴っていた。
『なんで……。なんで全部背負うん?この事件が起きたんは征十郎のせいちゃうやん…………』
感極まってぼろぼろと涙が溢れ出る。
「え。美桜……」
『征十郎はちょっと少し黙ってて!!』
私はお義父さんの方向へ体を向け、征十郎の目によく似たお義父さんの目をしっかり見て言った。
『お義父さん。今回の事件は征十郎のせいだけでは決してありません。だから、怒らないで下さい。油断し、気を抜いていた私が悪いです。私も殴ってください』
「美桜さんの言いたいことはよく分かった。だが、殴ることは流石に出来ないよ。でも、征十郎の行動1つで美桜さんが危険な目に合わなかった事は事実だ」
『それでも征十郎が100%悪いわけでは無いです』
「美桜。すまない。妻に守ってもらうなんて夫失格だよ」
『違う!征十郎はかっこよかった!!私を助けに来てくれた。走ってくれた。戦ってくれた。だからフェア!!お互い様!』
征十郎は少し驚いたように目を見開いたが、ふっと笑い出した。
「ありがとう」
征十郎が笑いながら、私の手を握りながら言ってくれてまた視界がぼやける。