• テキストサイズ

夢きらめいて(ブラコン夢)

第7章 7


今度はグラッパを頼む。
さすがにグラッパは一気に飲むことはせず、ゆっくりと飲むが、そもそもあまりアルコールに強くない私にとっては強すぎるほどのお酒だ。

ふぅ、と息をつく。
だいぶ飲んだ。
私はそっとお酒の入ったグラスを遠ざけた。

「よく飲むのね。嫌なことでもあった?」

女の人の口調だ。

「男の人の姿でも、そんな風にしゃべるんですね」
「そっちの方が喋りやすいかと思って」

そういって朝日奈さんは女性的な笑みを浮かべる。
見慣れた笑顔だ。髪も長いのでそんなに違和感がない。

「…私が落ち込んでいる時、朝日奈さんは必ず女性になって接してくれますよね。…いえ、たまたま女装されてるときに会うことが多かったから、というのもわかりますが…」

ずるい。ずるい。

「どんな人にもそうなんですか?朝日奈さんが昔出会ってきたすべての人に、そうして都合よく接していたんですか?…もし、もしそうならこれ以上何も言いません。でも、そうじゃないって、なんとなくですが、そう思うんです」

お酒の力で軽くなったおしゃべりな口が次々と言葉を紡ぐ。
お酒の力を使わないと言えないなんて卑怯だ、と意識の奥に押し込められた理性が自己嫌悪をするが、とまらない。

朝日奈さんは向こうを向いて一口、お酒に口をつけた。

「根拠は?」
「ありません…」
「そう」
/ 77ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp