第12章 12
「光」
「ん?雅兄、どうかした?」
「…いや、安心したよ」
「…なんのこと?」
俺は笑いながらそう返した。
「雅兄は優しすぎるんだよ。その優しさが時に人を傷つけるんだけどさ。俺やあの人のコトを思うなら、妹サンを精一杯愛してやりな」
俺がそう言うと、雅兄は照れ臭そうに柔らかな笑みを浮かべた。
「雅臣さん!ちょっとお手伝いお願いできますか?」
「うん、今行くよ」
やぶれた夢のかけらは再び輝き始める。
「なぁさくら、せっかくだからさくらの得意な歌を聞かせてよ」
「へっ!?そんな急に…」
「いいから。みんな待ってるよ?」
「で、では僭越ながら一曲」
美しい歌を響かせながら。
fin