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夢きらめいて(ブラコン夢)

第6章 6


すべてのプログラムがおわり、ホワイエにでると、真っ赤なドレスが人だかりの中心にいた。
学院の友人達が口々にすごかった!いつのまにあんなに上手になってたの?と褒めているのがきこえる。
たくさんの花束を受け取り、ひとしきり波がすぎてこの花束達をどこに置こうかとおろおろとしているところに声をかける。

「さくら」

そう呼びかけると、弾かれるようにこちらを向いてくれた。

「朝日奈さん!舞台から見えましたよ!あの、本当にありがとうございました。楽しんでいただけましたか?」

嬉しそうにしているのはわかるがら目を合わせてはくれない。
嬉しい時、はずかしそうに目を逸らす

「あぁ。素晴らしかったし、楽しかった。…なんだか、昔を思い出したな」

そんな姿があの人を思い出させ、つい口に出てしまった。

「朝日奈さん。…朝日奈さんは一体誰を…」

しまった、と思ったころにはもう遅かった。
彼女は笑っているふりをしている。
きっと泣きそうなのだ。それもまたあの人を思い出させる。

「泣きそうな顔してる」
「さすが朝日奈さんですね。私、上手に笑えていませんでしたか?…舞台上でなりきってた登場人物が、まだ私の心の中にいるような…そうです。きっとそういうことです。…なので、お酒でも飲みに行きましょう!打ち上げですよ!すぐに着替えてくるので、ちょっと待っててください!」

彼女は両手いっぱいの花束達を落とさないように気をつけながら、ドレスも踏まないように慎重に急いで楽屋にむかってしまった。
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