第3章 3
「シャワー浴びて一服すると頭が冴えてくるもんだな」
半乾きのしっとりした髪を髪ゴムでまとめ、すこしラフな格好の朝日奈さんが出てきたのだ。
思わぬ色気に慌ててしまう。
「…!」
「なにかあった?」
「いえ、なんでも…えと、本、とてもおもしろいです!」
「そう。気に入ったのならよかった」
朝日奈さんはそういいながらキッチンでコーヒーをいれ、ソファの前の机にコーヒーを出してくれた。
近くでみるとぐっと男の人の色気を感じてしまって、ドギマギしてしまう。
「あ、ありがとうございます」
「顔、真っ赤だけど」
「それは、そのっ!」
本でなんとか顔を隠すと、朝日奈さんはおかしそうに笑った。
「なに?ちょっとときめいちゃった?」
「もう、からかわないでください!」
そういうところが面白いんだよ、と言いながら朝日奈さんはノートパソコンに向かった。
「俺が寝そうになってたら起こして」
「わかりました」
すぐにキィのタイプ音が部屋に響きはじめた。
その音をBGMに、本の続きを読む。
物語はどんどんと緊迫していくが、柔らかなキィのタイプ音がふんわりとした感覚にさせる。
どんどんとまぶたが重くなる。