第2章 2
約束を取り付けられてから、私は落ち着かない日々を過ごした。
テーブルマナーなんて多少しか知らないし、高級なレストランでの立ち振舞いもよくわからない。
近くに住む友達にそれとなく話を聞いたり、インターネットで調べたりしながら、そわそわとしているとあっという間に約束の日になってしまった。
15時。
携帯が着信を告げる。ディスプレイにはHikaruの文字。
「おはようございます」
「おはよう、さくら。あと15分くらいしたらそっちにつくわ。ちゃんと準備しててね」
「わかりました。ありがとうございます」
女の人の喋り方の朝日奈さんだった。
仕事帰りなのだろうか?とちょっと心配になりながら、身支度の最終確認をした。